
事業承継税制のデメリット8選【2026年最新版】
この記事の要点
- 猶予打切り時は猶予税額と利子税を一括納付する必要がある
- 雇用8割維持や株式保有継続など長期の要件負担が続く
- M&A売却を視野に入れる場合は制度選択を慎重に検討すべき
事業承継税制のデメリットとは?結論を先に解説
事業承継税制の最大のデメリットは、猶予が取り消されると猶予税額に加えて利子税まで一括で納付しなければならない点です。加えて、継続届出書の提出忘れや雇用維持要件など、適用後も長期間にわたり管理負担が続くことが挙げられます。
制度自体は非上場株式の贈与税・相続税の納税を猶予・免除できる優遇措置ですが、「使えば得」と単純に判断できるものではありません。適用を検討する際は、メリットだけでなくリスク面を正確に理解することが重要です。
事業承継税制のデメリット8選
以下に、事業承継税制を利用する際に想定される主なデメリットをまとめます。
- 打切りリスクがある:認定取消事由に該当すると猶予税額と利子税をまとめて納付する必要がある
- 利子税の負担:猶予期間が長いほど利子税(年0.5〜1%程度で推移)が積み上がる
- 継続届出書の提出義務:特例承継期間中は毎年、その後は3年ごとに提出が必要で、忘れると猶予が打ち切られる
- 雇用確保要件:5年間平均で相続時・贈与時の雇用の8割以上を維持する必要がある(特例措置では未達成でも一定条件下で継続可能)
- 株式の保有継続義務:後継者が対象株式を継続して保有し続けなければならない
- M&A売却時の制約:猶予期間中に株式を譲渡・売却すると原則として猶予が打ち切られる
- 手続きの複雑さ:認定申請・税務署への申告・都道府県への報告など、専門家のサポートがほぼ必須になる
- 将来の税制改正リスク:特例措置は期限付きであり、制度内容が変更・縮小される可能性がある
これらは一例であり、会社の状況や後継者の事情によって影響度は異なります。
打切りリスクとその負担の大きさ
事業承継税制は「猶予」であって「免除」ではありません。認定取消事由(代表者退任、株式売却、資産管理会社化など)に該当すると、猶予されていた税額を全額、利子税とあわせて納付することになります。
たとえば猶予税額が3,000万円で猶予期間が10年だった場合、利子税だけで数百万円規模になるケースもあります。事業環境の変化でM&Aによる会社売却を選択せざるを得なくなった際に、この打切りが大きな障害になる失敗例は少なくありません。
雇用要件と株式保有の継続負担
一般措置では5年間で平均8割の雇用維持が求められ、未達成の場合は原則として猶予が打ち切られます。特例措置では未達成でも理由書の提出により継続できる余地がありますが、書類作成や説明対応には手間がかかります。
また後継者は対象株式を保有し続ける必要があり、資金調達のために株式を担保や売却に使いたい場合でも自由度が大きく制限されます。
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無料で記事を作る →事業承継税制の適用で失敗しやすいケース
実際の相談現場でよく見られる失敗パターンを整理します。
1. 届出書の提出漏れ:担当者の異動や税理士交代のタイミングで継続届出書の提出を失念し、猶予が打ち切られた
2. 後継者の事業承継後の離脱:経営環境の悪化により後継者が代表を退任し、認定取消となった
3. M&A売却との両立不可:数年後に会社を第三者に売却する計画が浮上したが、猶予中のため実行に大きな制約が生じた
4. 資産管理会社化と判定されるリスク:本業以外の収入割合が一定基準を超え、資産保有型会社と認定され取消事由に該当した
こうした失敗は、制度の仕組みを十分に理解しないまま適用を急いだ場合に起こりやすい傾向があります。
デメリットを踏まえた判断のポイント
事業承継税制を利用するかどうかは、次の観点から検討すると判断しやすくなります。
- 将来的にM&Aで会社を売却する可能性がどの程度あるか
- 後継者が長期にわたり経営を継続する意思と体制を持っているか
- 継続届出書などの事務負担を税理士等に依頼できる体制があるか
- 雇用維持要件をクリアできる事業計画になっているか
将来の売却・M&Aを視野に入れている場合は、事業承継税制よりも通常の株式譲渡や他のM&Aスキームのほうが柔軟に対応できることがあります。逆に、後継者が長期的に自社を経営し続ける前提であれば、納税猶予による資金繰りの改善効果は大きなメリットになり得ます。
メリットとのバランスで考える
デメリットばかりに目を向けると制度の活用機会を逃す可能性もあります。事業承継税制には、多額の贈与税・相続税の納税資金を用意せずに株式を後継者に承継できるという明確なメリットがあります。中小企業の事業承継においては、この納税資金負担の軽減効果が経営の安定に直結するケースも多くあります。
適用を検討する際は、メリットとデメリットを一覧で比較し、自社の将来計画(M&Aの可能性、後継者の意向、資金繰り状況)と照らし合わせて判断することが望ましいでしょう。制度の詳細な要件や最新の改正情報は中小企業庁や国税庁の公式情報で確認できます。
まとめ:専門家への相談が不可欠
事業承継税制は、打切りリスク・利子税負担・継続的な手続き義務・M&A時の制約など、適用後も長期にわたり注意すべきデメリットが存在する制度です。制度の仕組みは複雑で、会社ごとの状況によって最適な選択肢は異なります。
適用の可否や自社にとってのメリット・デメリットのバランスは、税理士や事業承継の専門家に相談したうえで、公式情報とあわせて総合的に判断することをおすすめします。
よくある質問
- Q. 事業承継税制のデメリットは何ですか?
- A. 猶予が取り消されると猶予税額と利子税を一括納付する必要がある点、継続届出書の提出など長期的な事務負担が続く点、猶予期間中の株式売却が制約される点が主なデメリットです。
- Q. 事業承継税制を使うとM&Aで売却できなくなりますか?
- A. 猶予期間中に対象株式を譲渡すると原則として認定が取り消され、猶予税額の納付が必要になります。将来M&Aによる売却を検討している場合は、適用前に専門家へ相談することが望ましいです。
- Q. 雇用維持要件を満たせなかった場合はどうなりますか?
- A. 一般措置では原則として猶予が打ち切られますが、特例措置では理由書の提出により継続できる場合があります。詳細な要件は税理士や公式情報で確認する必要があります。



