
事業承継税制とは?2026年最新の仕組みと要件を解説
この記事の要点
- 猶予には5年間毎年・以降3年に一度の継続報告義務がある
- 後継者不在ならM&Aによる会社売却も比較検討すべき選択肢
事業承継税制とは何か結論から解説
事業承継税制とは、後継者が先代経営者から非上場株式などを承継する際にかかる相続税・贈与税の納税を、一定の要件を満たすことで猶予し、最終的に免除も受けられる制度です。中小企業の後継者不足や税負担による廃業を防ぐ目的で創設されました。
この制度を使えば、株式評価額が数千万円から数億円規模になる場合でも、後継者は多額の納税資金を用意せずに事業を引き継げます。ただし適用には都道府県知事の認定や継続的な報告義務など、複数の手続きが必要です。
事業承継税制の仕組みと猶予される税額
事業承継税制の仕組みは、後継者が取得した非上場株式にかかる相続税・贈与税のうち、一定割合を「猶予」し、後継者がさらに次の後継者へ承継するなど一定条件を満たせば「免除」されるという二段階構造になっています。
猶予対象となる株式の割合や税額の計算は、一般措置と特例措置で異なります。
- 一般措置:猶予対象は発行済議決権株式総数の最大3分の2まで。相続税は猶予割合80%
- 特例措置:猶予対象株式の上限なし(全株式)。相続税・贈与税ともに100%猶予
特例措置のほうが優遇幅が大きいため、多くの中小企業がこちらを選択しています。ただし特例措置を利用するには、2026年3月31日までに「特例承継計画」を都道府県に提出している必要があります(提出期限は延長される可能性があるため、最新情報は自治体や専門家に確認してください)。
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無料で記事を作る →適用を受けるための主な要件
事業承継税制の適用には、会社・先代経営者・後継者それぞれに要件が設けられています。
会社に関する要件
中小企業者に該当すること、上場会社や風俗営業会社でないこと、資産管理会社に該当しないことなどが求められます。従業員数が1人以上いることも条件の一つです。
先代経営者に関する要件
会社の代表者であったこと、相続開始または贈与の直前において筆頭株主であったことなどが必要です。贈与の場合は、贈与時に代表者を退任していることも求められます。
後継者に関する要件
相続開始の翌日から5か月を経過する日において代表者であること、後継者およびその親族で総議決権数の過半数を保有し、かつ筆頭株主となることなどが要件です。
これらの要件は複雑で、細部の解釈を誤ると認定が受けられないケースもあります。実際に「後継者の議決権割合の計算を誤り、申請直前に要件を満たしていないことが判明した」という失敗例も少なくありません。早めに税理士や事業承継の専門家へ相談することが重要です。
納税猶予が打ち切られるケースと注意点
事業承継税制は一度適用を受ければ終わりではなく、5年間の「経営承継期間」中は毎年、その後は3年に一度、都道府県や税務署への報告が義務付けられています。この報告を怠ると、猶予されていた税額に利子税を加えて一括納付を求められることがあります。
主な打ち切り事由には以下のようなものがあります。
- 後継者が代表者でなくなった場合(正当な理由がある場合を除く)
- 対象株式を譲渡・贈与した場合
- 総収入金額がゼロになった場合
- 資産管理会社に該当することとなった場合
特に多いのが「事業環境の変化で会社を売却したくなったが、猶予税額の納付が発生するため身動きが取れない」という相談です。将来的にM&Aによる会社売却も視野に入れている場合は、事業承継税制を利用する前に、猶予打ち切りリスクとM&Aのメリットを比較検討しておく必要があります。なお、後継者が経営困難などの理由で会社を譲渡した場合、一定の要件を満たせば猶予税額が減免される特例的な取り扱いもあります。
事業承継税制とM&Aはどちらを選ぶべきか
事業承継税制は親族内承継や従業員承継を前提とした制度です。一方で、後継者が見つからない、親族に承継の意思がないといった場合は、第三者への会社売却(M&A)という選択肢もあります。
事業承継税制とM&Aの比較検討で押さえておきたいポイントは次の通りです。
- 後継者候補が社内・親族にいるか
- 猶予期間中に会社の成長戦略や事業転換の予定があるか
- 将来的に株式や事業の売却を検討する可能性があるか
- 納税猶予の報告義務を継続できる体制があるか
猶予税額は打ち切り時に利子税とあわせて一括納付が必要になるため、数年後に方針転換すると想定外の資金負担が生じることがあります。事業承継税制を選ぶ前に、5年後・10年後の会社の姿を具体的にイメージし、M&Aによる会社売却の可能性も含めて複数のシナリオを検討しておくことをおすすめします。
制度の詳細な要件や最新の適用期限については、国税庁や中小企業庁の公式情報で必ず確認してください。
まとめ|専門家への相談が判断の近道
事業承継税制は、後継者の税負担を大幅に軽減できる有効な制度ですが、要件の複雑さや将来の打ち切りリスクを踏まえた慎重な判断が求められます。親族内承継とM&Aのどちらが会社の将来にとって最適か迷う場合は、税理士だけでなく事業承継・M&Aの専門家にも早めに相談し、複数の選択肢を比較したうえで意思決定することが後悔のない承継につながります。
📩 事業承継やM&Aの進め方について相談したい方は、専門家への無料相談窓口の利用も検討してみてください。
編集者Xアカウント:@keishou_ma_navi
よくある質問
- Q. 事業承継税制とは簡単に言うとどんな制度ですか?
- A. 後継者が非上場株式を承継する際の相続税・贈与税を、一定の要件を満たすことで猶予・免除できる制度です。中小企業の円滑な承継を税制面から支援する仕組みです。
- Q. 事業承継税制の特例措置はいつまで申請できますか?
- A. 特例承継計画の提出期限は2026年3月31日とされていますが、延長の可能性もあるため、必ず中小企業庁や自治体の最新情報を確認してください。
- Q. 事業承継税制を使った後にM&Aで会社を売却できますか?
- A. 譲渡すると原則として猶予が打ち切られ利子税を含む一括納付が必要になりますが、経営困難などの要件を満たせば減免措置が適用される場合があります。事前に専門家へ相談することが重要です。



