
事業承継士の費用相場は?報酬体系や依頼時の注意点を解説
この記事の要点
- 事業承継士の初期相談料は無料〜3万円程度、顧問料は月5万〜30万円程度が相場。
- M&Aを伴う第三者承継では、譲渡額の2%〜5%程度の成功報酬が発生することが多い。
- 中小企業庁の事業承継・引継ぎ補助金を活用すれば、専門家費用を大幅に軽減できる。
事業承継士に業務を依頼する際の費用は、相談料が1時間あたり1万円〜3万円程度、顧問契約を結ぶ場合は月額5万円〜30万円程度が一般的な相場です。最終的な支援内容や企業の規模、承継スキームの複雑さによって総額は大きく変動するため、事前に報酬体系を正しく理解しておくことが重要です。
この記事では、事業承継士の費用相場や内訳、費用を抑えるための公的支援制度、そして信頼できる専門家を選ぶためのポイントを詳しく解説します。
事業承継士とは?主な役割と依頼するメリット
事業承継士とは、中小企業の事業承継をスムーズに進めるための専門知識を持った民間の資格保持者です。親族内承継、親族外(従業員)承継、M&A(第三者承継)といったあらゆる承継パターンに対応し、経営面・資金面・税制面・心構えの4つの側面から総合的なアドバイスを行います。
1. 総合的な事業承継プランの策定
事業承継は、単に株式や経営権を譲渡するだけでなく、後継者の育成や経営理念の引き継ぎなど多岐にわたる準備が必要です。事業承継士は、企業の現状を分析し、中長期的な「事業承継計画書」の作成を支援します。
2. 各分野の専門家とのコーディネート
税務や法務、登記などの実務が発生した場合、税理士や弁護士、司法書士といった士業との連携が不可欠です。事業承継士は、ハブ(窓口)となってそれぞれの専門家をコーディネートし、経営者の窓口を一本化することで、手続きの煩雑さを解消します。
事業承継士の費用相場と報酬体系
事業承継士に支払う費用は、一律ではなく「スポット費用」「顧問契約」「成功報酬」などの組み合わせで構成されます。ここでは、それぞれの段階で発生する費用の詳細を解説します。
1. 初回相談料
- 費用相場:無料 〜 1時間あたり1万円〜3万円程度
多くの事業承継士やコンサルティング事務所では、初回の相談(1時間〜2時間程度)を無料、あるいは1万円〜3万円程度で受け付けています。まずは自社の課題を整理し、具体的な支援内容を提案してもらう段階です。
2. 顧問料(月額コンサルティング費用)
- 費用相場:月額5万円 〜 30万円程度
事業承継計画の策定から実行まで、数ヶ月〜数年にわたり継続的なサポートを受ける場合の費用です。企業の規模やミーティングの頻度(例:月1回〜週1回)によって金額が変動します。
3. 事業承継計画書の作成費用
- 費用相場:20万円 〜 100万円程度
現状分析(知的資産の棚卸しなど)を行い、具体的な承継スケジュールやアクションプランをまとめた計画書を単発で作成してもらう場合の費用です。企業の事業規模や部門数によって作業量が異なるため、費用に幅があります。
4. 成功報酬(M&A等の場合)
- 費用相場:譲渡価格の2% 〜 5%程度(または最低保証料金100万円〜500万円程度)
第三者への事業引継ぎ(M&A)を伴う場合、成約時に成功報酬が発生することが一般的です。多くの場合は「レーマン方式」と呼ばれる、取引金額に応じて手数料率が段階的に下がる仕組みが採用されています。また、成約に至る前の中間金(着手金や基本合意成立時の報酬)として、数十万円〜100万円程度が設定されるケースもあります。
会社の名前を入れるだけで、あなたの会社の記事を1本、無料でお作りします。検索で見つけてもらう記事を、毎日2本代行します。
無料で記事を作る →事業承継の費用を抑えるための補助金・助成金
事業承継にかかる専門家費用は、公的な補助金を活用することで大幅に軽減できる可能性があります。代表的な制度を紹介します。
事業承継・引継ぎ補助金
中小企業庁が所管する「事業承継・引継ぎ補助金」は、事業承継やM&Aを契機とした経営革新や、専門家を活用する際の費用を一部補助する制度です。
- 専門家活用事業:M&A仲介や事業承継士などの専門家に支払う委託費、謝金、システム利用料などが対象となります。補助率は最大で3分の2(または2分の1)、補助上限額は最大600万円程度(廃業を伴う場合は上乗せあり)となっています。
申請時期や公募要領の最新情報は、中小企業庁の公式サイトを必ずご確認ください。
専門家選びで失敗しないための3つのチェックポイント
費用をかけて事業承継士に依頼する以上、自社に最適なパートナーを選ぶことが成功への近道です。以下のポイントを意識して選定しましょう。
1. 得意とする承継パターンが自社と合致しているか
親族内承継、親族外承継、M&Aでは必要となるノウハウが全く異なります。候補となる事業承継士が、過去にどのような形態の支援実績を多く持っているかを確認してください。
2. 見積もりと業務範囲が明確に示されているか
「どこまでが月額顧問料に含まれ、何が追加費用になるのか」が曖昧なまま契約すると、後から思わぬ追加請求が発生するケースがあります。契約前に、業務範囲(スコープ)と費用内訳が書面で明記されているか確認しましょう。
3. 他の専門家(税理士・弁護士など)とのネットワークがあるか
事業承継の実務には、税法や会社法などの高度な専門知識が求められます。事業承継士自身が連携できる強力な士業ネットワークを持っているかどうかが、実務を滞りなく進めるための鍵となります。
まとめ
事業承継士に依頼する費用は、スポットの相談であれば数万円程度から始められますが、長期的な顧問契約やM&Aを伴う支援では数百万円規模の予算が必要になることもあります。自社の課題や目的に応じて、最適な契約形態を選択することが重要です。
また、国や自治体が提供する「事業承継・引継ぎ補助金」などを賢く活用することで、自己負担を大きく抑えることが可能です。まずは無料相談や公的な相談窓口(事業承継・引継ぎ支援センターなど)を利用し、信頼できる専門家探しから始めてみてはいかがでしょうか。
よくある質問
- Q. 事業承継士と税理士の違いは何ですか?
- A. 税理士は主に税務申告や相続税対策などの「税金面」に特化していますが、事業承継士は経営理念の引き継ぎ、後継者育成、関係者の合意形成など、事業承継全体の戦略立案と実行を総合的にコーディネートします。
- Q. 個人事業主でも事業承継士に相談できますか?
- A. はい、個人事業主であっても相談可能です。個人事業の譲渡や、法人化(法人成り)を伴う事業承継など、それぞれの規模や状況に合わせた最適なプランを提案してもらえます。
- Q. 相談するタイミングはいつ頃がベストですか?
- A. 事業承継には5年〜10年程度の準備期間が必要とされるため、経営者が「そろそろ引退を考え始める」前の、50代後半から60代前半のタイミングで一度相談することをおすすめします。



