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M&A仲介手数料の相場と計算方式

公開: 2026-10-07 / 更新: 2026-10-07 ・ 読了 約6分

この記事の要点

  • 仲介手数料は取引額の1〜5%程度で最低成功報酬は500万〜2,500万円前後
  • レーマン方式は移動総資産基準か株式譲渡対価基準かで支払額が大きく変わる
  • 中間金や着手金は成約しなくても原則返還されないため契約内容の確認が必須

M&Aの仲介手数料の相場は、取引金額に応じて1%〜5%程度に設定されるケースが一般的です。中小企業のM&Aではこれに加えて最低成功報酬が定められており、おおよそ500万円から2,500万円前後の範囲で設定されています。

仲介手数料は各社で料金体系や基準となる計算母数が異なるため、総額でいくら必要になるのかを把握しておくことが重要です。手数料の仕組みや内訳、費用を抑えるポイントを解説します。

M&A仲介手数料の内訳と費用項目

M&A仲介会社に依頼した場合、最終的な成約時に支払う成功報酬のほかにも複数の費用項目が存在します。どのような名目で費用が発生するのかを把握しておきましょう。

着手金

着手金は、M&A仲介会社と秘密保持契約や仲介契約を締結した初期段階で支払う費用です。相場は無料から200万円前後となります。近年は着手金無料を掲げる会社も増えていますが、無料の場合は初期調査や企業価値評価の質に差が出ることもあるため、契約内容の確認が必要です。

月額報酬(リテイナーフィー)

M&Aの支援期間中、毎月継続して発生する固定費用です。一般的な相場は月額30万円から100万円程度です。長期間にわたってマッチングが進まないと、成約に至らないまま費用のみが膨らむリスクがあるため注意が必要です。完全成功報酬制の仲介会社では、この費用が設定されていない場合が多く見られます。

中間金

買い手候補企業との間で基本合意書を締結した段階で支払う費用です。相場は成功報酬の10%〜20%程度、または一律50万円〜200万円程度と設定されるケースが目立ちます。基本合意後にデューデリジェンス(買収監査)を経て破談となった場合でも、原則として中間金は返金されません。

成功報酬

M&Aの最終契約が締結され、取引が完了した時点で発生するメインの報酬です。多くの場合、「レーマン方式」と呼ばれる取引規模に応じた料率テーブルを用いて算出されます。また、小規模なM&A案件であっても仲介会社が採算を確保できるよう、最低成功報酬額が設定されていることが一般的です。

成功報酬の計算基準となるレーマン方式の仕組み

レーマン方式とは、取引金額を複数の階層に区分し、それぞれの区分に対して決められた手数料率を掛け合わせて合算する計算方法です。一般的な料率は次の通りです。

レーマン方式の計算例

例えば、手数料の基準となる金額が8億円だった場合、次のように計算します。

1. 5億円以下の部分:5億円 × 5% = 2,500万円

2. 5億円超10億円以下の部分(3億円分):3億円 × 4% = 1,200万円

3. 合計手数料:2,500万円 + 1,200万円 = 3,700万円(税抜)

このように、金額全体に一律4%を掛けるのではなく、階層ごとに料率を適用して算出します。

手数料を左右する3つの計算基準

レーマン方式で極めて重要なのは、「どの金額を基準にして料率を掛けるか」という点です。業界内でも仲介会社ごとに基準が分かれており、同じ取引でも手数料の総額が大きく変わります。

負債が数億円ある中小企業の場合、株式譲渡対価基準と移動総資産基準とでは、手数料に数百万円から数千万円の差が生じることも珍しくありません。契約を結ぶ前に、どの基準でレーマン方式を適用するのかを必ず書面で確認してください。

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最低成功報酬が中小企業M&Aに与える影響

レーマン方式の計算結果が低額になる小規模案件でも、仲介会社ごとに定められた「最低成功報酬」が優先して適用されます。

大手仲介会社では最低成功報酬が2,000万円から2,500万円前後に設定されていることが多く、中堅や中小特化の仲介会社では500万円から1,000万円程度、オンラインマッチングを活用するプラットフォーム系では200万円から300万円程度に設定されている場合があります。

例えば、売却額が3,000万円の案件で最低成功報酬が1,000万円に設定されていた場合、売却代金の3分の1が手数料として差し引かれることになります。手元に残る金額が想定を大幅に下回る事態を防ぐため、自社の想定売却額と最低成功報酬のバランスを慎重に見極める必要があります。

仲介手数料に関するトラブル・失敗例

仲介手数料の取り決めを曖昧にしたまま手続きを進めると、最終段階でトラブルに発展することがあります。よくある失敗例を紹介します。

負債を含めた計算で報酬が想定の倍になったケース

譲渡対価を5,000万円と見込んでいた企業が、借入金3億円を抱えていた事例です。契約書に「移動総資産を基準とする」と記載されていたため、計算母数が3億5,000万円となり、手数料が1,750万円に達してしまいました。株式対価基準であれば最低成功報酬の適用程度で済んだはずが、負債分が加算されたことで売却手取額の大半が仲介手数料に消えてしまう結果となりました。

デューデリジェンス後に破談し中間金が戻らなかったケース

基本合意を締結した段階で中間金として150万円を支払ったものの、その後の買い手による詳細調査で簿外債務の懸念が指摘され、成約に至らなかった事例です。中間金は成約を保証する費用ではなく業務対価とみなされるため返金されず、売却が成立しないまま金銭的な負担だけが残りました。

公的な相談先として、国が設置する事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的機関を活用することも選択肢に入ります。公的支援の枠組みや登録専門家のルールについては、中小企業庁のウェブサイトで指針が示されています。

仲介手数料を抑えて納得のいくM&Aを行うための手順

M&Aの費用を適正に抑え、手元に残る資金を最大化するための進め方は次の通りです。

1. 複数の仲介会社から相見積もりを取る

1社のみに相談して契約を決めるのではなく、最低でも2〜3社から料金体系の提示を受けます。着手金の有無だけでなく、中間金の有無、最低成功報酬の金額、レーマン方式の基準(株式対価か移動総資産か)を並べて比較します。

2. 契約形態を検討する(仲介かアドバイザリーか)

仲介は売り手と買い手の双方から手数料を受け取る形態ですが、アドバイザリー(FA)は片側のみと契約します。自社の利益を最大限に追求したい場合や、手数料の二重取りを避けたい場合は、FAの活用も視野に入れるとよいでしょう。

3. スモールM&Aではプラットフォームの併用を考える

譲渡対価が数千万円以下の規模であれば、仲介会社を介さずにマッチングプラットフォームを利用することで、手数料を大幅に抑えられる可能性があります。プラットフォームを利用する場合でも、最終的な契約書作成や法務・税務チェックは専門の弁護士や税理士にスポットで依頼することが可能です。

最終的な手数料交渉や契約条件の決定にあたっては、自社の財務状況を踏まえ、M&Aに詳しい士業などの外部専門家へ助言を求めながら進めてください。

よくある質問

Q. M&Aの仲介手数料は売り手と買い手のどちらが支払いますか?
A. 仲介会社を利用する場合、原則として売り手と買い手の双方がそれぞれ仲介会社へ手数料を支払います。一方、ファイナンシャル・アドバイザー(FA)形式の場合は、契約を結んだ依頼主側のみが支払います。
Q. 最低成功報酬とは何ですか?
A. 取引金額に応じた計算結果が一定額に満たない場合でも、仲介会社が最低限受け取る報酬として設定している下限金額です。中小規模の取引ではこの最低成功報酬が適用されるケースが多く見られます。
Q. 仲介手数料は値引き交渉できますか?
A. 案件の魅力度や仲介会社の状況によって交渉の余地があるケースは存在しますが、過度な減額を要求するとマッチングの優先順位を下げられるリスクもあります。内訳や計算基準を調整する交渉が現実的です。
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